『ドッグスレッド』も6巻まで発売し、さらに面白さが加速していますね!
ドッグスレッドとは、『ゴールデンカムイ』の野田サトル先生が現在連載中のアイスホッケー漫画です。
この漫画、野田先生がゴールデンカムイの前に連載していた『スピナマラダ!』のリメイク作品なんです。
打ち切りとなったスピナマラダに大きな未練があったと思われる野田先生。
この再起の作品が、ドッグスレッドというわけです。
リメイクということは両者ストーリーはほぼ一緒かと思ったのですが、実はけっこう違うんです。
ストーリー、キャラの造形、新キャラと、スピナマラダとは全然違った展開を見せているドグスレ。
この記事では、ドッグスレッドとスピナマラダの違いをまとめてみます!
ついにドッグスレッドも、スピナマラダが打ち切りになった6巻まで到達しました…!
ドッグスレッドとスピナマラダの違い①高校名の変更
まず舞台となる高校が、「勇払高校」から「狼之神高校」に変更されました。
「狼の神」、アイヌ語で「ホロケウカムイ」のことですね。
ドグスレのキャッチコピーでもある「狂った犬のように走れ!」という二瓶先生の言葉から派生した校名だと思われます。
名称変更の理由

なぜドグスレで名前が変更されたのかというと、おそらく勇払は実際の地名だからです。
勇払(ゆうふつ)は、北海道苫小牧市の字。
苫小牧市の南東に位置する。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%87%E6%89%95
現在も勇払小学校や勇払中学校があるので、その配慮ではないでしょうか。
また、学校の名前にタイトルに関連した意味を持たせたかったという理由もあると思われます。
ちなみに、おそらく同じ理由でライバル校も清里高校から鮫王高校に名前変更しています。
ドッグスレッドとスピナマラダの違い②狼之神キャラの変更点
勇払、もとい狼之神高校のキャラにはビジュアルを含め変更点があった重要キャラがいます。
それは以下のキャラ達です。
- 白川朗
- 白川春名
- 土肥
- 源間慶一
- 富士
- 水島
どの点が変更になったのか、詳しく見ていきましょう!
白川朗のビジュアルと性格
まず、両作の主人公・白川ロウは、ビジュアルも性格も大幅に変更されているんです。
ロウのビジュはより「王子様」へ


上2枚の画像出典は、集英社公式サイトです。
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-893086-2
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-879233-0
1巻の表紙を見比べればお分かりの通り、スピナのロウは黒髪でどことなく快活な雰囲気があります。
しかし、ドグスレのロウは茶髪に七三分け、顔もどことなく気品あふれる雰囲気になりました。
それはおそらく、前作にはなかった特徴的な眉毛と下まつげによる効果かと思われます。
鯉登音之進に似ている?
このドグスレのロウの髪型、どこかで見たと思ったら、ゴールデンカムイの鯉登少尉にそっくり!
それに、眉間からおでこを走る特徴的なデザインも、鯉登少尉を髣髴とさせますよね。
性格もより鯉登寄りに
そして、見た目のイメージを補強するように性格にも大きな変更がありました。
それは、白川朗がナルシストの変人になっているということ。
スピナでも潔癖症や都会っ子の気はありましたが、ドグスレではその個性がさらに強化されています。
美しいものへのこだわりや王子様的振る舞い、変人的に空気を読めない、演技がかったセリフなどなど…
これも鯉登のキャラクター性を引き継いでいると見えますね。
ハルナの性格
ロウの妹、白川春名はビジュアルの大幅な変更はないものの、性格に変更がありました。
それは、より口が悪くなっているということ。
それがよくわかるのが、ロウのフィギュアにおけるライバル・マサトに対する態度の辛辣さです。
スピナではそこまでの暴言はなかったので、これはドグスレでより個性を強化したからでしょう。
とはいえスピナのハルナも雪花の生徒をりんご飴で殴っているので、暴力加減は変わっていないようです。
土肥の学年と名前
土肥は、ストーリーにかかわる大幅なキャラ修正がありました。
それは学年です。
スピナではロウの後輩でしたが、ドグスレではロウと同級生になりました。
そのため、狼之神でも一緒にプレイをするメインキャラへ昇格した形となります。
また、名前も「土肥つよし」から「土肥宣人(のぶと)」に変更していますが、理由は不明です。
(知り合いの名前にしてたとか、そんな理由があったりして。笑)
源間慶一の髪型・性格


上2枚の画像出典は、集英社公式サイトです。
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-893087-9
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-879259-0
両作2巻表紙における慶一の髪型を見ると変わっていないように感じますが、実は作中で大きな違いがあります。
実は、スピナの初登場時(中学生時)の慶一はドグスレと一緒の髪型なのですが、勇払に入学した際に丸坊主になっていました。
ですが、ドグスレの慶一は狼之神に入学しても髪が長いままなんです。
ちなみにスピナの最終巻では慶一は元の長めの髪に戻っているので、最終的にはドグスレと同じ髪型になります。
性格はより保守的になった
慶一は、スピナから郷土愛の強い人間として描かれていますが、ドグスレでは郷土愛がさらに強化されています。
一生苫小牧からでなくていいと言い放ち、それはまるで愛着というより執着のようです。
そのため、よそ者でコミュニティの破壊者であるロウを嫌悪しており、その様子はスピナの比じゃありません。
富士のビジュと学年と名前・メインキャラに昇格
富士は、ドッグスレッドにて初登場と思われている方もいるかもしれませんが、実はスピナにも登場しています。
どこにいたかというと、序盤の中学生編で宮森中と試合をした、北稜中の2年生として出ていました。
ですが、ドグスレではロウの同級生にしてチームメイトというメインキャラに昇格し、さらに慶一の親友のポジションも得ています。
ドグスレの富士は本当にスピナの富士なのか?
ここで根本的な問題としてあげるのは、ドグスレの富士は本当はスピナの「向井」なんじゃないか?ということです。
というのは、スピナで宮森中から越境して北稜中に入学したのは「向井」というキャラで、2年生の富士については特に言及されていません。
一方、ドグスレでは宮森中から北稜中に越境したのは「富士」として描かれています。
そのため、ドグスレの「富士」はスピナの「向井」を「富士」という名に変えてリメイクしたキャラなんじゃないかと思われます。
ビジュアルに個性が付けられた
そして、メインキャラ化するにあたり、ビジュアルが大幅変更されています。
スピナの富士は、太い眉毛以外これといった特徴のない、いわゆるモブのようなキャラ造形でした。
そして向井も、猫目が特徴的ではあるのもののモブ感のあるキャラ造形。
しかしドグスレの富士は浅黒い肌に童顔、マッシュルームカットに切れ長の目という個性付けがされています。
性格もメインキャラらしく
そして、メインキャラ化にあたり性格もテコ入れされています。
というか、スピナでは富士にしろ向井にしろほぼモブ扱いだったので、性格らしい性格はわからなかったんですよね。
ですがドグスレでは作中「あざとい」と形容される通り、中性的でおちゃめ、時にはギャルのようなポーズをとったりと可愛さを前面に押し出したキャラとなっています。
しかし自分の夢のために邁進する精神的タフさも持ち合わせている、非常に魅力的なキャラです。
名前も変更あり
スピナでは富士寛之でしたが、ドグスレでは富士美雄(よしお)と変更されています。
よりメイン感のある名前に変更したようですね。
ちなみに、向井は下の名前が出てきていないのでわかりません。
水島ヒロシは消えた?
スピナマラダで人気キャラだった勇払1年生の水島は、ドッグスレッドでは登場していません。
その代わり、キャラを引き継いでいる人物が数人いるので見ていきましょう。
脇おならは土肥の特技へ
水島といえば、その体型ゆえの特技「脇おなら」が印象的でしたが、これは土肥の特技として引き継がれています。
水島の体型いじりのようなエピソード等は、土肥のキャラに盛り込まれたと言っていいでしょう。
激やせ後のビジュは小林へ
水島は、作中で体型とともに顔が激変するエピソードを持ちますが、激変後のビジュアルは狼之神2年の小林武士に引き継がれました。
眉毛がいい感じのイケメンですね。
水島が消えた理由は映画のオマージュ封印のため?
水島がドグスレで登場しなかった理由は、野田先生による映画のオマージュを封印するという制限によるものかもしれません。
というのも、ゴールデンカムイでは有名映画のオマージュがふんだんに使われていました。
しかし、そのオマージュを理解できない読者が多くいたため、今後「わかる人はわかる」というようなネタを封印するとおっしゃっていました。
そのため、映画『ビルマの竪琴』のオマージュキャラである水島の登場を見送った可能性があります。
(オマージュキャラというか、ビルマの竪琴ギャグを入れたいがために名前をビルマの竪琴の主人公である「水島」にしたのでしょうね)
スピナマラダだけでなく、多くの作品でギャグとしてオマージュされがちな『ビルマの竪琴』。
しかし、非常に興味深い作品となっているので、観たことない方はぜひご覧になってください!
ドッグスレッドとスピナマラダの違い③雪花高校キャラの変更点
主人公サイドである狼之神だけでなく、序盤の不良高校として登場する雪花高校のキャラクターにも変更点があります。
それは主にこの2つ。
- 高野聖流翔(セルシオ)
- 石崎光男監督
意外な変更から思わぬ人気キャラを生んでいるので、詳しく見ていきましょう!
高野聖流翔のビジュアル・性格
雪花高校2年生の高野聖流翔(セルシオ)は、モブからイケメンへ大幅ビジュ変しています。
スピナでは大きな鼻で坊主頭のコワモテな雰囲気で、イケメンというキャラ造形ではありませんでした。
しかし、ドッグスレッドでは流し目で顔ピアスが危険な雰囲気のイケメンに変更されており、出番も増えています。
性格も、不良高校の一員としては柔らかい雰囲気だからか、読者人気を得ているようです。
石崎光男監督のビジュアル・性格
雪花高校の石崎監督のビジュアルもイケオジへと大変貌を遂げています。
スピナでは、ずんぐりむっくりとした体型で、スキンヘッドの輩おじさん風だった石崎監督。
しかし、ドグスレではシュッとした眼鏡の参謀系になっているんです。
性格も輩そのもののような暴力上等系脳筋おじさんでしたが、ドグスレでは思慮深そうなタイプとなっています。
このキャラ変のおかげか、スピナでは話題にものぼらなかった石崎監督ですが、ドグスレでは界隈が沸きました。
アイスホッケーをはじめとするウィンタースポーツの衰退を引き起こした雪印の食中毒事件。
北海道の近代史として知っておくとドッグスレッドへのより深い理解に繋がるかも。
ドッグスレッドとスピナマラダの違い③狼之神初登場キャラ
さて、ここからはスピナマラダでは登場しなかった、ドグスレからの初登場キャラをご紹介します。
話を拡充に伴い他校は初キャラばかりですが、狼之神にも新キャラがいるんです。
中でもメインで活躍している新キャラはこちら。
- 旭一尊
- 常丸要太
- 城崎剛気
ゴールデンカムイのあのキャラそっくりの新キャラもいるので、詳しく見ていきましょう!
旭一尊|狼之神2年生
まず、2年生の旭一尊(あさひ かずたか)です。
彼は前作から登場している紅露キャプテンの右腕として登場しています。
旭の最も注目すべき点、それは顔が金カムの宇佐美にそっくり!!!これでしょう!
さらに人物紹介では、「『火垂るの墓』を観ても唯一泣かなかった冷血漢」とされています。
また、雪花高校とのやり取りでも非常に好戦的だったので、宇佐美のサイコパスな面も多少受け継いでいる可能性が…。
常丸要太(とその兄妹)|狼之神3年生
そして、3年生の常丸要太(つねまる ようた)も新キャラです。
常丸は、ロウ達が入学前に正ゴーリーだった選手として登場しました。
そして、常丸が何より注目を集めたのが、ゴールデンカムイの尾形にそっくりなその風貌です!
性格もなかなか尾形寄りで、後輩ゴーリーの安海をいじめたり、姑息な方法で楽をしようとする姿が見られます。
しかし、金カム尾形とは全く違う点が家族の存在。
年の離れた妹を溺愛し、狼之神のキャプテンだった兄となんとか関係を築いている姿が見られます。
この兄・常丸拓也も尾形そっくり!
拓也の性格は、冷たい物言いに態度の悪さが目立ち、もしかすると弟の要太より尾形寄りかもしれません。
城崎剛気|狼之神3年生
そして、3年生の城崎剛気(しろさき ごうき)もドッグスレッドからの新キャラです。
セット2つ目を任されているフォワードで、何かと主人公であるロウを気にかけています。
彼はゴールデンカムイのスターシステムを採用されていない、ちょっと異色の新キャラ。
スターシステムとは?
漫画などで、同一の作家が同じ絵柄のキャラクターをあたかも俳優のように扱い、異なる作品中に様々な役柄で登場させるような表現スタイルも、スター・システムと呼ぶ
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%BB%E6%BC%AB%E7%94%BB)
先ほどご紹介した旭と常丸の2人はスターシステムを採用されていましたが、城崎については誰かに似ているということは全くなさそう。
しかし野田先生のお気に入りなのかすごく出番が多いキャラクターで、人気も高いです!
ドッグスレッドとスピナマラダの違い④より不穏になったストーリー
ドッグスレッドでは、キャラ以外にもスピナマラダからのストーリー変更、または大幅加筆されている部分があります。
おおまかにあげるとこんな感じ。
- ロウがアイスホッケーを教わる相手
- 狼之神が鮫王に負けた理由
- 東日本大震災の描写
- 二瓶監督とロウの母親の関係
- 賢吾と慶一と富士の三角関係
- 樋口先輩の闇落ちと賢吾との関係
- 浩一と常丸の正ゴーリー争い
- スキルコンテスト
シリアスな部分が強化されているイメージなのですが、詳しく見ていきましょう!
ロウがアイスホッケーを教わる相手
まず、ロウがアイスホッケーの基礎を教わる相手が源間浩一からおじいちゃんに替わっています。
スピナマラダでは、入学前に天然のアイスリンクにて源間浩一にスティックの使い方などの基礎を教わりました。
しかし、ドッグスレッドでは、元オリンピック選手だったおじいちゃんから基礎を教わっています。
この描写から、話の核であるロウとハルナの母親についてのエピソードが強化されている印象。
ドグスレではより家族のストーリーを重視するのかもしれません。
狼之神が鮫王に負けた理由
スピナもドグスレも、絶対王者のインターハイ連覇が途切れたことからストーリーが展開しますが、この敗北の理由が大きく違っています。
スピナで勇払が清里に敗れた理由
スピナで勇払が清里に敗れた理由は、源間浩一の怪我です。
浩一がロウの練習に付き合った際に左目の上を怪我し、試合中にその傷が開き血が目に入ったことで点を取られ敗北しました。
ドグスレで狼之神が鮫王に負けた理由
ドグスレで狼之神が鮫王に負けた理由は、怪我や焦りからくる数人のミスです。
まず、常丸が第1ピリオドの終盤で怪我をし、それを鮫王の監督に気付かれたことで1点を失います。
その後第3ピリオド終盤で、点を取れないことに焦った甲斐賢吾が、反則行為にてペナルティボックスへ。
そして致命傷になったのが、試合終了2分前に樋口キャプテンが大ミスでペナルティボックスに入ったことでしょう。
この賢吾と樋口キャプテンの致命的ミスが、その後のストーリー展開をスピナより不穏なものに変えています。
東日本大震災の描写
スピナでは、東日本大震災の描写はセリフでしか出てきませんでしたが、ドグスレでは丸1話使って詳細に描かれています。
この詳細な描写により、鮫王高校の苦難が具体的に理解できるようになったことでより応援しやすくなりました。
二瓶監督とロウの母親の関係
ドグスレでは、なんと二瓶監督とロウの母親は一時期恋愛関係にあったと明かされました。
スピナではこの二人についてなんの言及もされていなかったので、これは大きな変更点です。
賢吾と慶一と富士の三角関係
スピナにはなかったメインストーリーとして、賢吾と富士による慶一とのコンビ争いがあります。
スピナでは、慶一は賢吾のベンチ入りの座を脅かすセンターとして描かれていました。
しかしドグスレでは、慶一はウィングとして賢吾とコンビを組むのか、センターとして富士とコンビを組むのか動向がはっきりしていません。
超高校級の慶一とコンビを組めれば良い進路が開けるので、賢吾も富士も必死で慶一の横を奪い合っています。
樋口先輩の闇落ちと賢吾との関係
樋口元キャプテンは、前作とは比べ物にならないほど不穏で危ない人物に変貌しています。
それは、自分のミスで狼之神の連覇が途切れたことに起因しているようです。
そのため、仲の良い賢吾との関係性もより危ういものになっており、賢吾を闇へ引きずり込もうとまでしています。
浩一と常丸の正ゴーリー争い
ドグスレでは、スピナではなかった正ゴーリー争いがあります。
それは、3年生の常丸と2年生の浩一との争いです。
この部分はスピナではまったくなかったストーリーなので、今後の展開が読めず非常に楽しみです。
スキルコンテスト
ドッグスレッドでは、全国選抜高校大会の際、スキルコンテストという催し物が開催されています。
これはスピナマラダにはありませんでした。
なぜこのストーリーを足したかというと、他校の新キャラが目白押しのため、人物紹介も兼ねていたのではないかと思われます。
自然な形で各キャラの個性が掴めましたし、野田先生らしい勢いのあるギャグばかりで非常に楽しいエピソードでした。
まとめ
この記事では、スピナマラダのリメイク作品である、ドッグスレッドのキャラ・ストーリーの変更点をまとめました。
これは6巻までの変更点になりますので、以降大きな変更点を見つければ随時追加しようと思っています。
しかし、ゴールデンカムイのあのキャラ達に似たキャラも出てきてファンの心わしづかみですよね。
でもそれだけじゃなく、さらにストーリーが洗練されているので本当に面白いです。
真正アイスホッケー漫画、まだの方はぜひ読んでみてください!!
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